「人気商品がすぐに売り切れる」「チケットが定価の何倍にもなる」
——こうした現象の背景には、転売行為が関係しています。
近年、ニュースやSNSなどでたびたび話題となる「転売」ですが、
なぜ社会的に批判されるのでしょうか?
本記事では、法律・制度・社会的影響という3つの視点から、
事実のみを基に転売が問題とされる理由を解説します。
✅ 転売とは
転売とは、商品を一度購入し、別の場所や方法で再販売する行為です。
営利目的で継続的に行う場合は、商行為とみなされます。
✅ 違法となる転売のケース
以下のようなケースでは、法律により転売行為が禁止または制限されています。
1. チケットの不正転売禁止(2019年施行)
「チケット不正転売禁止法」が2019年6月14日に施行されました。
この法律により、特定の条件を満たす興行チケットを営利目的で定価を超えて転売する行為が
禁止されました。
対象となるチケットの例:
- 音楽ライブ、スポーツ、舞台公演など
- 主催者が「転売禁止」と明示している
- 購入者の氏名や連絡先などが管理されているチケット
違反者には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(同法第5条)。
2. 古物営業法の適用対象
継続的に中古品などを仕入れて販売する行為は、「古物営業」に該当します。
その場合、古物商許可(公安委員会への届出)が必要です。
無許可営業は違法です(古物営業法第3条)。
3. 商標法・不正競争防止法違反
偽ブランド品や非正規品を販売する場合、
「商標権侵害」や「不正競争行為」に該当し、刑事罰や損害賠償請求の対象となる可能性があります。
✅ 社会的に問題視されている背景
以下のような現象が、行政や企業、消費者団体などによって問題とされている事実があります。
1. 正規購入が困難になる
消費者庁や経済産業省、各業界団体は、転売によって本来の購入希望者が正規価格で商品やチケットを入手できなくなる状況を問題視しています。
参考:消費者庁「チケットの不正転売に関する注意喚起」(2022年)
2. 一部商品の価格が高騰する
SNSやECサイトにおいて、ゲーム機や限定スニーカー、コンサートチケットなどが
定価の数倍で出品される事例が複数報告されています。
これに対して、メーカーや販売元が転売対策を発表する例もあります。
例:公式サイトにて「転売目的の購入はご遠慮ください」などの文言を記載。
3. イベント主催者の対応強化
以下のような対策が導入されています。
- 購入時の本人確認
- デジタルチケットの導入(譲渡不可)
- 正規リセール機能の整備(例:チケプラ、公式トレード)
✅ 転売に関する行政・業界の動き
- 2019年:チケット不正転売禁止法施行
- 2020年以降:人気商品に対する抽選販売の導入が増加
- 2022年:消費者庁がリセール市場に関する調査を実施
また、一部の自治体では、
フリマアプリを通じた違法転売の摘発も行われています。
✅ 正規品流通を保護する企業の姿勢
多くの企業は、公式ウェブサイトにて以下のような表記を行っています。
「当商品は転売目的での購入をお断りします」
「正規販売店以外から購入された商品については、保証・サポート対象外です」
これは、消費者保護と製品の品質保証の観点から実施されている対応です。
✅ まとめ:なぜ転売は批判されるのか
観点 | 内容 |
---|---|
法律 | 一部の転売行為は明確に禁止されている(チケット、古物など) |
社会的影響 | 商品・チケットの入手困難化、価格高騰 |
業界の対応 | 本人確認・リセール機能・注意喚起の実施 |
消費者庁等の対応 | 注意喚起、調査、情報発信 |
「転売=すべて違法」というわけではありませんが、
法的に禁止されているケースや社会的な影響の大きさから、問題視される行為があるのは事実です。
企業や行政も対応を強化しており、今後も転売対策が進むことが予想されます。